日本ピア・サポート学会北海道支部
支部長 長野 喜美子
北海道支部会員の皆様、お変わりありませんか?
去る2月28日に、北海道では緊急事態宣言が出され、外出の自粛、そして学校の休校措置が全国に先駆けて行われました。
3月の卒業式、修了式、離任式の日は、分散登校で、時間も通常よりも短縮時程だった学校が多かったことと思います。残念ながら中止になった学校もあったでしょう。しっかりお別れが出来ないため、学年・学級・友人たちに想いを持っていても、引きずったままの子ども達がいることが予想されます。
4月は、一ヶ月あまりの休業を経て、学級開きを始めとする出会いと関係作りの場やストレスの対処、気持ちを未来志向に切り替えていく大事な時期でしたが、その機会も更なる休業により失われてしまいました。
さて、北海道も、5月25日(月)には、緊急事態宣言の解除の予定が報道されています。いよいよ、札幌圏にある学校も休校の解除となる可能性が出てまいりました。札幌圏以外の全道各地の各学校も、既に分散登校を始めており、解除がなされたら、6月1日には、全校生徒が登校してくるでしょう。
5月21日に北海道教育委員会から事務連絡として各道立学校に発出された文書では、授業の確保が最優先と思われる内容となっております。学校生活にまだ慣れず、クラス内の人間関係がまだ構築されていない中、授業中心となる学校生活を想像すると、子ども達のことが心配になります。環境に慣れるまで緊張と不安を抱えて生活する子ども達のサポートを考える必要があるでしょう。
ただ、今回解除されても,第3波・4波の感染拡大の場になってはなりません。決して無理は出来ません。予防行動が取れることが条件となることを前提にしながら、6月1日以降、どのように、予防的開発的教育相談の要素をちりばめて、ピア・サポート活動の機会を作っていくか一緒に考えて行きましょう。
次に、いくつか、ピア・サポート活動の実践の紹介を致します。
<6月からのピア・サポート活動実践参考例の紹介>
1 市立札幌豊明高等支援学校 菅原尚俊先生より
コロナ感染予防対策による休業中に作成された、ピア・サポート活動を実践する上で重要なスキルである「SEL(ソーシャルスキル&情動・感情のコントロールの学習)」を取り入れた学習資料(12枚のワークシートとそれぞれの動画)の紹介がありました。素敵な教職員の皆さんの出演で、とてもわかりやすい動画になっています。ワークシートも、写真入りで動画を見ることが出来ないお子さんも、わかりやすく工夫されております。
5月24日現在もホームページにアップされた動画を見ることが出来ます。菅原先生の学校の許可をいただきまして、北海道支部のHPにもアップさせていただきました。活用いただければ幸いです。菅原先生はじめ 市立札幌豊明高等支援学校の皆様に感謝申し上げます。
2 八雲高校では
本校では、今年も希望者が60人ほどになりました。
1)入り口でアルコール手指消毒・全員マスク着用
2)出入り口と窓を開放し換気
3)広い会場を使用。間隔を開けて着席
4)終了後は、全員でアルコール消毒(出入り口・机・イス)
と基本的な感染予防策に取り組みます。
演習は、非言語のコミュニケーションのエクササイズ、非接触のエクササイズを行い、ピア・サポーターとして必要なスキルを学んでいこうと考えています。4人グループでの活動は、距離を置いて向かい合うことにし、声の小さい生徒の発表の時は大きな声を出すように促すことも必要ですが、みんなが静かに聞き耳を立てるという温かい行動にも気づかせたいところです。
具体的なウォーミングアップ・エクササイズですが、
1)声を出さない10回じゃんけん
2)名刺交換(交換後名刺を見て、よろしくお願いしますをボディアクションで伝える)
3)バースデーライン(誕生日順に並ぶ場所は距離を置いてポイントを床につけておく)
4)紙上相談(4人、密着せずに座る)
5)ひたすらじゃんけん、あいこじゃんけんは、アトランダムに相手を探さず、二列になり、向かいの人と行う。そしてズレていく。ハイタッチは、する仕草のみ。
今回は二つの学校の実践例(計画含む)を紹介致しました。それぞれの職場の実態に応じてアレンジして実践されたり、また計画のヒントになれば幸いです。コロナ感染の不安が完全に払拭されていない状況下だからこそ、私たちが学んできたピア・サポートこそが、子ども達の心を元気にさせるのだということに確信を持って、工夫して進んでいきたいものですね。そしてちょっとした実践や疑問も交流して行けたら素敵ですね。皆さんのチャレンジに期待しています。(是非、支部のアドレスに情報を送って下さい)